【札幌軟石の建物】解体費用は?一般住宅との違いと費用相場を解説
北海道、特に札幌市内やその近郊を歩いていると、歴史を感じさせる独特の風合いを持つ石造りの建物を目にすることがあります。これらは多くの場合、**札幌軟石(さっぽろなんせき)**という、この地域で産出される石材で造られた建物です。
自宅が札幌軟石の建物で、建て替えや売却を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「解体するとなると、通常の家と比べて費用はどれくらいかかるの?」「そもそも、普通の解体業者に頼んで大丈夫?」といった疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
結論から言うと、札幌軟石の建物の解体は、一般的な木造住宅や鉄骨住宅とは費用も手順も大きく異なります。
この記事では、札幌軟石の建物の解体費用がなぜ高くなるのか、その費用相場はいくらなのか、そして解体作業をスムーズに進めるための注意点まで、専門的な視点から詳しく解説します。

1. 札幌軟石の建物とは?その特徴と解体が難しい理由
札幌軟石とは、その名の通り、札幌市南区の定山渓地域で採掘される軟質な石材(溶結凝灰岩)です。明治時代から開拓の歴史と共に建材として利用され、耐火性や加工のしやすさから、倉庫や家屋の土台、商店などに広く使われてきました。
独特のグレーの色合いと温かみのある風合いが特徴で、現在も建材や庭石として高い人気を誇ります。しかし、この**「石」**という特性こそが、解体を難しくする最大の理由です。
一般的な建物との決定的な違い
一般的な木造住宅や鉄骨住宅は、木材や軽量鉄骨、サイディングボードといった比較的柔らかく軽い素材でできています。これらは重機のアームで簡単に壊すことができ、分別作業も比較的容易です。
一方、札幌軟石の建物は、その名の通り石でできています。見た目は柔らかそうに見えても、非常に重く、頑丈です。

- 重機選定の必要性: 軟石とはいえ、非常に重い石材の塊です。通常の解体用重機ではパワー不足で壊すのに時間がかかったり、アタッチメント(先端の工具)が破損するリスクがあります。より強力な大型重機や特殊なアタッチメントが必要になるため、重機費用が増加します。
- 粉塵・騒音対策: 石を破砕する際には、大量の粉塵が発生します。近隣への配慮として、散水作業を徹底したり、防音シートを厚くするなど、追加の対策が必要になります。
- 作業時間の長期化: 石造りの壁や基礎は、木造の柱や壁のように簡単には崩せません。一つひとつの石材を丁寧に破砕・分別する必要があるため、作業期間が長くなります。
これらの要因が、解体費用を押し上げる根本的な理由となります。
2. 一般住宅と比較する!札幌軟石の建物解体費用の内訳
それでは、具体的にどのような項目で費用に差が出るのでしょうか。一般的な木造住宅の解体費用と比較しながら、費用が高くなる内訳を解説します。
項目 | 木造住宅の解体 | 札幌軟石の建物解体 | 違いの理由 |
本体解体費用 | 坪単価2万~4万円 | 坪単価6万~10万円以上 | 石材の破砕に特殊な重機と技術が必要。作業時間も大幅に増加するため。 |
基礎解体費用 | 坪単価1万~2万円 | 坪単価2万~5万円以上 | コンクリートや石材で固められた基礎は、より強力な重機や人力作業が必要となるため。 |
廃材処分費用 | 1トン当たり1万~2万円 | 1トン当たり2万~5万円以上 | 軟石は**「がれき類」**という産業廃棄物になり、処理費用が木材やコンクリートガラよりも高額になる傾向があります。 |
運搬費用 | トラックで数回 | トラックで何十回も往復 | 石材は非常に重くかさばるため、運搬回数が増加。運搬費用と人件費も比例して高くなります。 |
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※上記の費用はあくまで目安です。地域や業者、建物の状態によって大きく変動します。
最も大きな違いは、**「廃材処分費用」**です。木材などの可燃物は処理費用が比較的安価ですが、札幌軟石は「がれき類」という産業廃棄物に分類され、厳格なルールに基づいて処分されます。また、その重量ゆえに、運搬にかかる費用も高額になります。
3. 札幌軟石の建物解体費用の相場を解説
札幌軟石の建物の解体費用は、坪単価で比較すると、一般的な木造住宅の2〜3倍以上になることが珍しくありません。
- 木造住宅(一般的な住宅地): 坪単価 3万〜5万円
- 札幌軟石の建物: 坪単価 7万〜15万円以上
【具体的な費用シミュレーション】
例えば、延床面積30坪の札幌軟石の家を解体する場合、
30坪 × 8万円(坪単価) = 240万円
これに加えて、諸経費(足場、養生、重機回送費、アスベスト調査費用など)が数十万円かかるため、総額で300万円〜500万円以上になるケースが一般的です。
費用が高くなる要因
さらに、以下のような要因があると、上記の相場よりも費用が膨らむ可能性があります。
- アスベスト(石綿): 昭和の時代に建てられた建物には、アスベストを含む建材が使われている可能性があります。アスベストが含まれている場合、専門業者による除去作業が必要となり、数十万円〜100万円単位で費用が追加されます。
- 立地条件: 道路が狭くトラックや重機が入れない場所、高低差がある場所、隣の家との距離が近い場所では、手作業や小型重機が必要になるため、人件費が増加します。
- 地中埋設物: 解体作業中に地中から過去の基礎や瓦礫、古い井戸などが見つかった場合、撤去費用として追加費用が発生します。
- 物置や庭木、ブロック塀: 建物本体以外にも、庭にある物置や樹木、札幌軟石の塀なども別途撤去費用がかかります。
4. 費用を少しでも抑えるための3つのポイント
高い費用に驚いた方もいるかもしれませんが、諦める必要はありません。いくつかの工夫で、費用を抑えられる可能性があります。
- 複数の業者から相見積もりを取る 最低でも3社以上から見積もりを取りましょう。それぞれの費用内訳を比較することで、適正価格が見えてきます。見積もり書に「札幌軟石の解体実績」があるか、地中埋設物に関する記載が明確か、なども確認してください。
- 家財道具や不用品は自分で処分する 物置の中身や、家の中に残っている家具、家電などは、解体費用とは別に処分費用がかかります。これらを事前に自分で処分しておくことで、費用を大幅に削減できます。
- 補助金制度を確認する 自治体によっては、老朽化した建物の解体費用に対する補助金や助成金制度を設けている場合があります。お住まいの地域の役所に相談してみましょう。特に、耐震診断を必要とする老朽家屋の解体で適用されるケースが多いです。
5. 信頼できる解体業者の選び方
札幌軟石の建物の解体は、一般的な住宅解体よりも高度な専門知識と技術が必要です。信頼できる業者を選ぶことが、トラブルを避け、費用を適正に抑えるための鍵となります。
- 札幌軟石の解体実績が豊富か: ホームページなどで、札幌軟石や石造り建物の解体実績があるか確認しましょう。実績があれば、ノウハウが蓄積されており、安心して任せることができます。
- 産業廃棄物処理の許可を持っているか: 札幌軟石は「がれき類」の産業廃棄物です。これを適切に処分するためには、**「産業廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物処分業許可」**が必要です。必ず許可証の有無を確認しましょう。
- 見積書の内訳が明確か: 「一式」と大まかに書かれた見積もりではなく、解体工事費、重機回送費、廃材処分費、運搬費などが詳細に記載されているか確認してください。不明な点があれば、納得いくまで質問しましょう。
- 工事保険に加入しているか: 万が一の事故に備えて、損害賠償保険などの工事保険に加入している業者を選びましょう。
6. 解体だけじゃない!再利用という選択肢も
札幌軟石は、その独特な風合いから、解体された後も再利用されることがあります。庭石や花壇の縁取り、店舗や住宅の内装材として再利用されることもあります。
一部の専門業者では、良質な札幌軟石を解体と同時に買い取ってくれる場合があります。解体費用を少しでも抑えることができるだけでなく、歴史ある素材が次の形で活かされるのは素晴らしいことです。業者に見積もりを依頼する際に、軟石の買い取りや再利用について相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
札幌軟石の建物の解体は、一般的な木造住宅と比べて費用が高く、特別な配慮が必要な工事です。
- 費用が高くなるのは、石材の重量と頑丈さ、そして廃材処分費が高額なため。
- 坪単価は木造住宅の2〜3倍以上、総額で300万円以上になるケースも多い。
- 費用を抑えるには、相見積もりを取り、不用品を自分で処分することが重要。
- 信頼できる業者は、札幌軟石の解体実績と産業廃棄物処理の許可を持っているかを確認。
弊社ではお見積りは無料なのでまずはお気軽にお問合せください。
はじめまして、解体くん編集部・スタッフです。主に解体工事の施工内容や関係法令、お客様へお得な情報を掲載しております。解体工事は人生で1度あるかないかのイベントで、施工前はみなさん心配になります。そんな不安を解消できるようお客様へ有益な情報を提供できるよう心掛けてまいります。もし解体に対してご不明な点等ございましたらお気軽にお問合せください。