スケルトン解体とは?メリットデメリットや費用を徹底解説
「スケルトン解体って結局どこまで壊すの?」
「スケルトン解体の費用はどれくらい?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
スケルトン解体は内装・設備をすべて撤去する大がかりな工事です。そのためメリットも多く、将来的なコスト削減にもつながります。
この記事では、工事の特徴や他の解体工事との違い、費用相場、注意点まで専門的にわかりやすく解説します。
スケルトン解体とは?スケルトン解体の特徴とポイント

スケルトン解体は、建物の骨組みだけを残し、天井・壁・配管・電気配線などの内装や設備を丸ごと撤去する大規模な工事です。
原状回復や部分解体と混同されがちですが、工事の範囲や目的が大きく異なります。
スケルトン解体の特徴
壁や床をすべて取り払うことでレイアウトの自由度が高まり、店舗やテナントを別用途へ転用しやすくなります。配管や電気の経路を一新できるため、老朽化した建物でも安全性と機能性を向上させやすい点が特長です。
また、内装をすべて撤去することで、建物全体の荷重バランスを再計算しやすくなり、必要に応じて耐震補強を同時に行える場合もあります。
ただし、耐震補強はスケルトン解体の工程として必須ではなく、あくまで必要に応じて実施する工事となります。
内装解体・原状回復工事との違い
工事には目的や内容によって異なる種類があり、それぞれ対応範囲やコストが大きく変わります。
以下の3つがよく行われる内装関連の解体・修復工事です。
項目 | 原状回復 | 内装解体 | スケルトン解体 |
目的 | 契約前の状態に戻す | 次の工事のために内装を撤去 | 骨組みだけ残して全解体 |
工事内容 | 壁紙・床材の張替え、軽微な補修(場合により設備交換も) | 床・天井・壁材・間仕切りなどの内装部分を撤去 | 内装・設備・配線・配管すべて撤去 |
費用感 | 安価(小規模)~中程度(大規模) | 中程度(規模により上下) | 高額(申請や処分費がかかる) |
作業範囲 | 部分的修繕 | 内装部分全体 | 内部すべて(構造体以外) |
廃棄物量 | 少ない | やや多い(内装材中心) | 非常に多い(設備・建材すべて) |
近隣・行政対応 | 原則不要 | 内容によっては簡易説明 | 届出・近隣説明・騒音管理など必須 |
主な用途 | テナント退去時、住宅賃貸の解約時 | 店舗改装や事務所リニューアル | フルリノベーション、テナント完全撤退、長期空室対策 |
スケルトン解体のメリット

高額に思えるスケルトン解体ですが、メリットは以下になります。
- 間取りやレイアウトを変更できる
- 工程の効率化と長期的なコスト削減
- 建物の現状を把握できる
間取りやレイアウトを変更できる
スケルトン解体は内装を一から作り直せるため、柱や梁の位置をのぞけば、自由に間取りを決めることができます。
たとえば、飲食店をオフィスに変えるといった使い方の変更や、バリアフリー対応、大空間のショールームづくりなど、目的に応じた大胆な設計が可能です。
また、人の動きや作業の流れを見直すことで、スタッフの数を減らしたり、効率よく回遊できる空間づくりにもつながります。
工程の効率化と長期的なコスト削減
スケルトン解体は、内装や設備をすべて撤去するため、部分的な補修よりも作業の手戻りやトラブルを防ぎやすいというメリットがあります。
工事範囲が広くなる分、総工期はやや長くなる傾向にあります。ですが、古い設備や配管を無理に残さず一掃できるため、将来的な修理やメンテナンスの費用を抑える効果も期待できます。
初期費用がかかっても、長期的に見ると建物の維持コストを削減できるのはスケルトン解体の大きな魅力です。
建物の現状を把握できる
壁や床を取り外すことで、普段は見えない配管のサビや建物のひび割れなどを、目で見て確認できます。
さらに、赤外線カメラや打診検査といった機器を使えば、隠れた劣化箇所も詳しく調べることができます。
建物の調査を行うことで、建物の現状を正確に把握でき、資産価値の維持にもつながります。
入居希望者や購入希望者に対しても、「建物はきちんとチェックされています」と安心して説明できるのが大きなメリットです。
スケルトン解体のデメリットと注意点

スケルトン解体はメリットだけでなく、デメリットもあります。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 骨組みの老朽化と内部の腐食
- 初期費用が高い
骨組みの老朽化と内部の腐食
壁や天井を外して柱や梁が見えるようになると、傷みや劣化が見つかる場合があります。痛みや劣化がある場合、補強工事が必要になり、追加の費用がかかることもあります。
そのため、あらかじめ構造の診断をしておいたり、予備のお金を用意しておくと安心です。また、湿気が多い場所やシロアリ被害が心配な地域では、防腐や防蟻の工事費もあらかじめ見込んでおくと良いでしょう。
初期費用が高い
スケルトン解体は撤去する量が多く、産業廃棄物の処理費や夜間作業などの追加費用がかかるため、坪単価が高くなりがちです。
そのため、初期費用は他の工事よりも高くなることが一般的です。
ただし、再び内装を改装したり、設備を更新したりする費用まで含めてトータルで比べると、結果的にスケルトン解体の方が安く済むケースもあります。
また、リフォームローンや助成金などを利用すれば、最初にかかる費用を抑えつつ、月々の支払いを一定に保つことができます。
スケルトン解体の費用相場

スケルトン解体を業者に頼む場合の主な費用の相場は以下になります。
- 建物種別・面積別の費用の相場
- 基本料金に含まれない追加費用の内訳と対策
- スケルトン解体費用を抑えるコツ
建物種別・面積別の費用の相場
建物別の費用の相場は以下になります。
建物種別 | 坪単価目安 | 延床30坪の場合 |
---|---|---|
店舗テナント | 2〜4万円 | 60〜120万円 |
マンション住戸 | 1.5〜3万円 | 45〜90万円 |
木造住宅 | 1〜2.5万円 | 30〜75万円 |
※地域や廃棄物処理費・設備量で変動しますのでご注意ください。
また商業ビル内テナントは夜間規制による割増、人通りの少ない郊外物件は割安になる傾向があります。
基本料金に含まれない追加費用の内訳と対策
工事の見積もりでよくあるのが、「基本料金には含まれていません」と言われる追加費用。想定外の請求を防ぐには、見積書に作業ごとの金額を出してもらい、現地で一緒に内容を確認することです。
たとえば以下の項目になります。
- 配管・電気設備の撤去費
- アスベスト調査・処理費
- 夜間作業・交通誘導費
追加費用をできるだけ減らすためには、いくつかの対策が効果的です。まず、契約を結ぶときに「作業ごとの単価」をしっかり書面に明記しておきましょう。
次に、工事が始まったら、実際に必要な作業量や数量を現場で確認します。その際は、業者まかせにせず、監督員などの立ち会いのもとで測定すると安心です。
費用の計算を明確にすることで、「思っていたより高くなった」というようなトラブルを防ぐことができます。
スケルトン解体費用を抑えるコツ
スケルトン解体の費用をできるだけ抑えるには、複数の業者から無料見積もりを取り、内容をしっかり比較することが大切です。
見積もりを見るときは、撤去する範囲・坪単価・廃材の処分方法など、細かい項目までチェックしましょう。
同じ広さでも「どこまで解体するか」によって金額が大きく変わることがあるため、工事の内容をしっかり確認することがポイントです。
また、複数の業者に見積もりを出してもらい、「複数業者による見積もり比較」を使うのもひとつの方法です。
さらに、解体後に出る鉄くずなどの金属スクラップを買い取ってもらい、その分を費用から差し引いてもらうことで、実質的な負担を減らすこともできます。
スケルトン解体の注意点

スケルトン解体の注意点は以下になります。
- 比較して信頼できる業者を選ぶ
- 見積りの内容をしっかり確認する
比較して信頼できる業者を選ぶ
スケルトン解体は、費用だけでなく実績や対応力、資格の有無などを総合的に比較して信頼できる業者を選ぶことが大切です。過去の施工事例や口コミを確認し、担当者の説明力や対応の丁寧さもチェックしましょう。解体工事業の登録や保険加入の有無も重要な判断材料です。事前に疑問点をしっかり確認することで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
見積りの内容をしっかり確認する
スケルトン解体工事で予算オーバーや追加請求を防ぐには、見積書の内容を細かく確認することが重要です。特に「一式○○円」といった内訳のない見積もりには注意が必要しましょう。
信頼できる業者は、解体作業費や処分費、人件費、養生費などを項目ごとに明記してくれます。また、追加費用が発生する条件を事前に書面で確認しておくと安心です。現場の写真付き図面を使った打ち合わせも、誤解による追加請求を防ぐ有効な手段となります。
まとめ

スケルトン解体は内装・設備を一新できる大規模な工事で、自由なレイアウト設計や長期的なコスト削減が可能です。
ただし、初期費用が高く、追加費用が発生しやすいため、見積りの確認や業者選びがとても重要です。
まずは複数社に相談し、自分の目的に合った計画を立てましょう。
こんにちは、解体くん編集部スタッフの山口です。はじめて解体を検討されている方にも安心して読んでいただけるよう、実際の施工事例やちょっとした豆知識を交えて、わかりやすく情報を発信しています。お客様の疑問や不安を少しでも解消できるよう、現場の声をもとにしたリアルな記事づくりを心がけています。
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